大好きな音から広がる、安心できる世界(0歳児クラス)

初めての集団生活を迎える0歳児クラスの子どもたちには、安心した環境でたくさんの経験をしてほしいという思いから「新しい世界へ踏み出そう ~安心できる場所からたくさんの「ワクワクを経験しよう~」というクラス目標を立てました。


4月は少人数で過ごすことも多く、一人ひとりとじっくりと関わることができたことで、安心して過ごすことができていたように思います。
園庭ですごしていると、外の音や、保育者の声をよく聞いている姿があったため、散歩では自然の音をたくさん聞きに行きました。




5月の活動に、水、小麦粉、絵の具などの感触遊びを取り入れてみると、感触遊びよりも"袋の音"に興味を持つ子がいました。
感触遊びを目的としましたが、音にもつながるということに気づくことができました。



別の日にピアノやタンバリン、鈴を使って楽器あそびをしてみました。
触ったら音が出るピアノ、叩いたら音が出るタンバリン。
子どもたちはそれぞれの音の違いを楽しんでいるようでした。




6月に入ってきた新入園児も、音の鳴る玩具に興味を示し遊ぶことが多かったのですが、その子は音から"振動"にも興味を持っているようでした。







7月、保育者は感触遊びをしてほしいと思い、紙袋や緩衝材、大きな古くなど様々な袋を用意してみました。
すると、それらを振ったり、叩いたり、握ったり。積極的に触る子どもたちでしたが、感触よりも興味を示したのは"音"のようでした。

カシャカシャ
ボフボフ

今まで聞いたことのない音に、驚き、ハッとした表情で保育者に何度も何度も共感を求めていました。

「これはなんだろう?」と、興味を持ち、触る。
思ってもいなかった音が出ることで面白さを感じる。
音を見つけた喜びを保育者と共感する。


これらの思いを丁寧に受け止めていきたいとクラスで話し合いました。





年度が進むにつれ、保育園に慣れ、成長していく子どもたちがいました。
手づかみ食べができるようにと、指先で遊ぶおもちゃを増やしていく中で
小さなペットボトルに鈴を入れて、手作りのマラカスを作りました。

ペットボトルには一人一人の写真を貼ることで「ジブンノ」がわかるようになり、大切にする姿もありました。

後日、そのマラカスを使って、音楽遊びをしました。
歌やピアノに合わせてマラカスを振り始める子どもたち。
それぞれが、それぞれの表現方法で楽しんでいました。








クラスが落ち着いてきた秋ごろ。
散歩へ出かけると落ち葉をちぎる音や、踏んだ時に出る音に心を躍らせる姿がありました。
はっぱをじっと見つめたり
保育者と同じように鳴らそうとしてみたり、
音が鳴るたびに音が鳴る"なぜ??"を考えているようでした。





<考察>
初めての集団生活を迎える子どもたちにとって、保育者の歌に合わせて玩具を鳴らしたり、音が鳴ったときに目を合わせる中で、保育者やお友だちと喜びを共感できたことは、安心感や信頼関係につながったのではないかと思います。

活動を進めていく中で、保育者が子どもたちの姿を見て「今こう思っている」と決めつけてしまっていないか、と不安になったり悩むことも多かったですが、
本当の子どもたちの思いに気づくためには、一つの姿で決めつけるのではなく、周りの環境や姿、様々な角度から子どもたちを見守っていくことが大切だと改めて気づくことができました。
そのため、つながりのある保育や、同じことを繰り返すことを意識すると、子どもたちも大人たちも気づきが増え、保育を子どもたちとともに楽しんだり驚いたりできたように思います。

これからも臆病になりすぎず、クラスで子どもたちの姿を共有することで、子どもたちが全身をつかって表現してくれる思いを見逃すことなく、子どもたちと活動を楽しんでいけたらと思います。