子どもと作り上げる環境(1歳児)

<おままごとから見えた子どもの姿>
進級当初、積み木で見立て遊びをしたり、新聞紙や玩具を様々のものに見立てて、並行遊びをする姿がありました。
4月の1歳児はまだ言葉が出てきていない子どもたちが多いため、
「おままごとコーナーの玩具をすべて、見立てられるものにするのはどうだろうか?」
とクラスで話し合い、言葉では補いきれないイメージの世界を保育士やお友だちと共有し、やり取りを通じて少しずつ仲を深めていけるようにと、食パンや牛乳など、"それ"にしかならない身近なものの玩具を置いてみることにしました。





また、小麦粉粘土や新聞紙遊びも多く取り入れることで、新聞紙で握ったものを"おにぎり"と言ったり、小麦粉粘土をスプーンで混ぜて料理を作ろうとする様子がたくさん見られるようになりました。


しかし、本物は見立てることができないので、だんだんとおままごとコーナーで遊ぶ姿が少なくなってきました。
そろそろ見立てを楽しめるように、と保育者がフェルトを出したり、チェーンを置いたりすることで、子どもたちが"見立てあそび"をするようになり、おままごと遊びもまた少しずつ広がっていくようになりました。







おままごとコーナーで見立てる姿が増えていくと、園庭の砂場でも砂を塩や調味料に見立ててお料理をしたり、おままごとコーナーで手を洗ってからおままごとを始める姿がみられるようになったりと、おうちでのお父さんやお母さんの真似をしている姿がたくさん見られるようになりました。



<積み木から見えた子どもの姿>
ある男の子が積み木で何かをイメージしながら遊んでいました。
思わず保育者が「おもしろいね」と声をかけると恥ずかしそうに、すべてを崩してしまいました。
また、他のときには、保育者が「すごいね」「上手だね」とすぐに声をかけがちであることに気づきました。保育者は、子どもたちを温かく見守り、子どもたちが「できたよ」と認めてほしいときに認めてあげられるようになっていきたいです。





新しい環境に慣れ始めてきた7月ごろ。部屋を走る友だちが増えてきました。一人が走るとそれにつられて走るクラスの子どもたち。
担任は「おもちゃでじっくり遊べていない。今の子どもたちに合った玩具が整っていないからではないか」と話し合い、絵本や指先の遊びこめるような玩具を置いてみることにしました。

それでも子どもたちは、変わらず走ることが楽しいようでした。
そこで、"動"のスペースを大きくとてみることにしてみました。
また大型のソフトブロックも置いてみることで遊びこめるかなと思い環境を変えてみました。
すると、今度は"動"のスペースで走ることが増え、ソフトブロックを身体を動かすというよりも、"見立てる"ことに使っている姿を見つけることができました。
頭を悩ませた担任は、その"動"のスペースが広すぎるのでもう少し狭くして、見立てたブロックを写真に撮り、壁に貼ることでお友だちとイメージを共有できるようにしてみました。




すると、部屋のあらゆるものを見立てて遊ぶ姿がたくさん見られるようになりました。

積み木で、動物園やお家を作って遊ぶ子。
布をラティスにかけて、洗濯物に見立てる子。
ソフト積み木も、乗り物だけでなくベッドになることもありました。
園庭では縄跳びで電車ごっこをしたり、繋げてお家や駐車場にしてあそびを広げたり、
お散歩先で見かけたフォークリフトやダンプカーをソフトブロックで作り、「ゴォーー!ゴォー!」と機械音を口で表現したり。

まだまだ一人遊びが楽しい時期で、イメージを教諭することが難しかったり、"ジブンノ!"という思いがあって、見て手ている中でもぶつかり合うことはたくさんあります。
けれど、"イメージを友だちと共有すことって楽しい!!"とたくさん思ってもらえていたのではないかと思います。







<考察>
子どもたちが自分のイメージしていることを表現する楽しさを感じていたことを気付くことができたのも、"環境"を変えたからそ見えてきた部分でもありました。
また、見立てを楽しむ中で、イメージの相違や独占したいという思いから友だちとぶつかることもありましたが、自分が作った物、表現した物を他者から認めてもらえる経験を通して少しずつ相手を認めようとする姿が見られるようになってきました。

子どもたちの興味や姿があっという間に変動していく中で、子どもたちがじっくりと遊びに集中できるためには玩具を変えるべきなのか、それとも部屋の空間なのか、変化に合わせた環境を整えていくことの難しさを常に感じていましたが、それと同時に環境の大切さも改めて感じることができました。
子どもたちの姿を見て担任で話し合い環境を変えてきたが、子どもたちの"何を大切にしたいのか"、"どんなことを経験してほしいのか"、何度も何度も立ち止まり、考えて保育者自身の思いや願いも大切にしていくことがもっと重要だと感じます。

クラス目標にもあるように
『子どもたちがたくさんの経験を重ね、どんな自分も表現していい、表現したい!』
と子どもたちが自信を持つことができるような関わりや環境作りとは何か、今後も考え続けながら、保育者自身も変化を楽しんでいきたいと思います。