プロジェクト保育になやんだ日々~保育者の葛藤と考察~(3・4・5歳児クラス/おひさまグループ)

4月当初。
折り紙を楽しむ4歳児の女の子がいました。
この子は本を見ながら自分で試し、分からない部分があると保育者や5歳児に聞いてり紙を楽しむ姿がありました。



そんな中、散歩先でのこと。
春の花がたくさん咲いていたので、摘んだり集めたり。
友だち同士で
「これたんぽぽじゃない?」
「こっちに綿毛もあるよ」
と、お花を集める子が増えていました。




そこで、折り紙でのお花の折り方がわかるように、折り紙の絵本を置いてみることにしました。
すると、たくさんの子が折り紙でお花を作るようになりました。

中には、花を折るだけでなく、
「花束にしたい!」
「リボンをつけてアクセサリーみたいにしたい!」
と、出来上がった後、"どうしたいのか"という目的を持つ姿がありました。



花への興味が広がってきたと感じてきたので、部屋に折り紙の花を紙コップに刺して飾り、本物の花を花瓶に刺し隣同士で置いてみることにしました。
すると、
「水が足りないのかな」
「パリパリしているね」
と本物の花が少し元気がなくなっていることに気づくお友だちがいました。
保育者は「このままドライフラワーになったら子どもたち興味が広がるかも」と考え、そのまま、部屋に置いておくことにしましたが、ドライフラワーになるには時間が長くその間に子どもたちの花への興味は薄れてしまいました。




梅雨の時期になると、室内で過ごすことが増えたので
保育者がちぎり絵をやってみることにしました。
それを見た子どもたちは「やりたい」とちぎり絵を始めますが、
ちぎり絵自体はあまり盛り上がらず、折り紙をテープで耳や指に着け、指輪やイヤリングのアクセサリーにして遊ぶ姿が見られました。




また別の日には、折り紙でブレスレットやイヤリングを作ってプリンセスになりきって遊ぶ姿が見られたので、もっと興味が広がるようにと、保育室に
「しいちゃんお姫様になる」
の絵本を置いてみることにしました。

子どもたちは宝石がキラキラしていることや、細かい部分に気づき
アクセサリー作りに興味を持ち始めました。

そこで、保育者は環境にビーズを出してみることにしました。
絵本の見よう見まねで、ビーズでアクセサリーを作り始めました。
アクセサリーができた子は、ドレスもほしい!とドレスを作るようになりました。









気軽に着ることができたり、みんなにも見てもらえるようにと、
ラックとハンガーを置き、そこにドレスを置いておくことを提案しました。
子どもたちは、ドレスとアクセサリーのイメージを膨らませて、
パーティに行くという遊びを始めました。
その中で子どもたちは折り紙でリップをしている様子が見られたので、
今度はメイク用品を置き、おままごとコーナーをおしゃれコーナーにしてみました。




すると、今まで見ていただけの子どもたちも、「やりたい」と声を出して参加するようになりました。




<考察>
大人の思いを子どもにどこまで投げかけて良いのか、どのように環境や活動に取り入れていくべきか、子どもたちの声をどこまで待つべきか、というところで悩んでしまい、活動が途切れ途切れになってしまいました。

「こんなふうににしてみたらいいんじゃない?」
という子どもからの発信に対して「それ、いいね!」と返すだけで、子どもたちの「やりたいこと」を叶えたつもりになってしまい、そこにどんな楽しさを感じているのか保育者が追求することができていなかったように思います。
webを作っていく中でどんなふうに広がってほしいのか、その中で何が育ってほしいのかという部分が保育者の中で曖昧になり、保育者からの投げかけが少なくなってしまいました。

保育者から「こんなのもあるんだよ」という提案をすることもできたのですが、それは保育者が主体になってなりすぎてしまっているのではないかという迷いがありました。
しかし、「こんなのもあるんだけどドレスを作るにはどうしたらいいと思う?」という声のかけ方の違いで子どもたちの学びに繋がっていくこともあると学ぶことができました。
まずは保育者が躊躇せず子どもたちに投げかけてみる、ということを意識していきたいと思います。