「色水から始まる輝く未来」~子どもの声からたどった軌跡(2歳児クラス)

1歳児の頃から絵の具あそびを行っていた2歳児クラスさん。
新年度が始まって、絵具を用意すると"描く"ことよりも、色を混ぜて色が変わることを楽しんでいました。

「ピンクをつくりたい!」
と色が混ざっていく様子を楽しんだり、
「水色はどうすればいいのかな?」
と、疑問を持っているようでした。




次の日、作りたい色を作ろう!!と試してみました。
それぞれの好きな色を混ぜ、思うような色は作れませんでしたが、
混ぜていく中で、
「オレンジになった!」
「ワニの色みたい!」
と、色を作る過程を楽しんでいる様子も見られました。




"色をつくる"ことを楽しんでいる姿があったので、
色の変化がわかりやすく混ぜやすい、食紅を使った色水作りあそびを活動に取り入れることにしました。

水や色水を混ぜ合わすことで色の変化を楽しむお友だち。
ある日のこと、幼児クラスのお友だちがオシロイバナで色水を作っているのをみて、
「どうやったの!?きれい!!!」
と真似する姿がありました。




オシロイバナで色水作りをしていく中で、他のお花や葉っぱで試そうとする姿も見られました。
「なかなかいろがでないよー」
「どんな色がでるかな?」
と、いろいろと実験を始めました。



作った色を取って置けるようにと、小さなペットボトルを用意することにしました。
すると、食紅で色を作る子。
花を使って色水を作る子。
葉っぱを使って色水を作ろうとする子。
と、それぞれの"色づくり"を楽しんでいるようでした。




また、ペットボトルに入れることで、色の変化がわかりやすく、子どもたちも今まで以上に色づくりを探求する姿が見られたので、室内に"色あそびのコーナー"を作り、作ったペットボトルを飾ったり、混色の手作り図鑑を置くことにしました。



また、できあがった色水のペットボトルを太陽に色を見ている姿から、"光"にも着目し、色あそびコーナーに、クリスタルの積み木を置いてみることにしました。




すると、
「みて!!色が写った!!」
と大興奮。
床だけでなく、自分の足に写したり、色を変えたり。
「透明のやつは、色がないね」
「ここには映るけど、ここには映らない!」
「光があると映るんだよ」
と、子どもならではの表現に、面白さを感じました。





また、クリスタルの玩具だけでなく、自分たちで作ったペットボトルを置くと、色が混ざり合い、映る色が変わることにも気づきました。

そこで、もっと簡単に移すことが楽しめるようにと、"色の板"を作り、保育室の環境に置いてみることにしました。
すると、晴れた日にはその"色の板"を園庭に持って遊びに行く姿や、
「僕もこれつくりたい」
という声も。
自分で作ることで、"自分のもの"と言う思いができたからか、
以前より増して、"光"を透かして遊ぶようになりました。






"光を透かす"という姿が"のぞく"姿に似ていたため、
クラスで話し合い、お部屋に「万華鏡」と「ライトテーブル」を置いてみることにしました。



「これ(万華鏡)もお外に持っていったら綺麗かな?」
「もっとキラキラする!」
と、万華鏡を楽しむ中で、万華鏡の中身に興味をもった子もいました。
「ビーズが入ってる!」
「いろんな形があるよ」
「なんでビーズは中から出てこいないの?」
と万華鏡の不思議さを感じる中で、
「これ、作れないかな?」
との声が。




早速、どのように作るのか話し合いました。
「穴があいてるけど、反対側はあいてない」
と、様々な発見を出し合って、"鏡のシート"と"厚紙"と"ビーズ"で作ることに。
出来上がると、
「きれいだねー」
「作れたよ!」
「ママに見せてあげたい」
と達成感も大きいようでした。

ビーズだけでなく他のものも万華鏡の中に入れたいとのことだったので、倉庫に探しに行くことに。

すると突然、
「リサイクルマークがある!!」
と教えてくれた子がいました。
アニメの影響からか、マークの認知度も高く、周りの子も
「ほんとだ!」
と興奮気味でした。
そこから急に、リサイクルマーク探しが始まりました。

「ここにもあった!」
「ここにもある」
と探す中で、
「くるくるくるくるサイクル~♪」
と口ずさむ子もいました。





「リサイクルマークって何なんだろうね?」
との保育士の問いに、
「ゴミのやつだよ!!」
と、知っている言葉が返ってきたので、
これからは様々なマークについて考えたり、SDGsについて考えるきっかけになっても良いかと思っています。


<考察>
 活動を進めていく中で“難しいかな?”と思う部分も多々ありましたが、“無理”と決めつけずに大人も子どもたちと同じ目線に立ち、答えを教えるのではなく、共に発見や面白さを追求していくことを丁寧におこなうことができました。

 しかし、子どもの“姿”だけにフォーカスしすぎた結果、その姿をただ受け止めるということが作業的になってしまったようにも思います。ただ「やりたい」と声があったからやるのではなく、毎日の保育のねらいや願いといった根本的なこと、その活動を通して何を感じ、何を学んで欲しいのかというところまで見通しを常に持ち、話し合いながら考えていくことが今後の課題です。

 “丁寧な保育”という言葉の背景には一人ひとり違う考えがあると思
いますが、子どもに掛ける言葉や立ち振る舞い、寄り添い方など“子ども”に対しての“丁寧さ”は大前提ではありますが、保護者や一緒に働く仲間といった相手のことを思いやり、考え、行動することも丁寧な保育に繋がると考えます。

 環境を一つとっても頭によぎる玩具などだけではなく、保育室の掃除、子どもの作品は大切に飾られているのか等、保育以外の面で目の前のこと一つひとつに心を込め、ただやるのではなく、何の、誰のために行うのかという部分まで丁寧に考えながら行動していくことが今後の課題の“丁寧な保育”という部分だと思います。

子どもの可能性は無限大であり、保育者も対話をしながら保育を深めていく面白さを感じられたと共に、“できる”“できない”の物差しで子どもたちを見るのではなく、その過程も大切にしていきたいと感じました。