おとまりほいく準備(5歳児)

ハートの森保育園では5歳児になると、"おとまりほいく"があります。
「どこへ行くのか、どこに泊まるのか、何をたべるのか」
などは、全部子どもたち自身で考えますし、夕食の買い物も自分たちで行きます。

5歳児(クローバー組)は"クローバー会議"という時間で話し合いをおこなっていきます。
子どもたちはこの、"クローバー会議"という言葉にいつもキラキラと目を輝かせて、自分たちで一つひとつ話し合いながら楽しみを計画しています。
楽しみは用意されるだけのものではなく、自分たちで作り出すものだということ、計画する中でわくわくと心が動く喜び、面白さを知っているんだと思います。



ある日のクローバー会議の議題は「午前中に遊ぶ場所はどこにする?」でした。

いくつか候補があがり、最終的に残った場所は、
「八景島シーパラダイス」と「新江の島水族館」

それぞれを希望する場所を示しますが、なかなか15人の思いは揃わず。
ただ行きたい、ということだけでなく、そこでどんなことがしたいのか伝えあうことになりました。

「江の島水族館でクラゲが見たい!」
「シーパラダイスでイルカショーが見たい!」
「江の島水族館にもいるよ!」
「うーん…」

そんな中、八景島シーパラダイスに行ったことのあるお友だちが、
「シーパラダイスにはマンボウがいるよ!シロイルカも!」

この言葉にシーパラダイスを希望するお友だちが増え、
「他にはどんな生き物がいるんだろう!」
と心をワクワクさせはじめていました。

でもその中でも一人、新江の島水族館を希望するお友だちがいました。
下を向き自分の思いを伝えたいけど上手く言葉にできない様子のそのお友だちに

「ゆっくりでいいよ」
「自分の思ったことを言っていいからね」

と相手の思いを優しく包み込む言葉がありました。
子どもたちにとって自分の希望を叶えることだけが重要ではないようでした。

そのお友だちは
「見たかったペンギンはシーパラダイスにもいるから、シーパラダイスにする」
と伝えてくれましたが、伝える時の緊張からか涙を流してしまいました。

すると
「ありがとう」と感謝の言葉を伝える子や
ただただお友だちの身体をさすってあげる子
「なんだか、ぼくも涙が出てきちゃった…」
とホッとした感情を共有する子

子どもたちそれぞれの方法で一人のお友だちの気持ちを受け取り、寄り添っていました。

このクローバー会議というものは、ただ"思いを伝える""相手の思いを聞く"というだけでなく、"仲間と一緒に、気持ちをあわせていくもの"と感じているんだと思います。
おとまりほいくやクローバー会議を経験することで、様々な心の動きを共にし、悩み、喜び合い、共に成長をしています。