「映画から星へ 移り行く光の姿 ~丁寧な掲示と子どもの育ち~ (幼児クラス/にじグループ/3・4・5歳児)

ある日のおあつまりでペープサートをすると、子どもたちから
"自分たちでやってみたい!"
との声が上がりました。
最初は、絵本を見ながら絵を描いて絵本の物語に合わせて遊んでいましたが、
そのうちに、自分たちでお話を作りながらペープサートをする姿がありました。

そこで、保育者たちは
"自分たちでペープサートで物語を作れるのではないか"
と考え、ペープサート専用の台を用意し、環境に設置し、作っている様子や遊んでいる様子を掲示してみることにしました。
そして、集まりで手作りのペープサートを発表してもらうことにしました。


自分たちで作ったペープサートのを発表する中で、
「映画館のようにしてみんなに見てほしい」
という思いが生まれてきました。
そこで
"どのようにしたら映画館みたいになるか?"
を子どもたちと考えてみることに。
子どもたちからのアイデアで、部屋を暗くし、ライトを後ろから照らしみましたが、
「なんか、映画館とは違う…」
と考え込む子どもたち。
そこで、クラスで"映画館ってどんなところ?"
というのを話し合ってみることにしました。


話し合いの中で、
「映画にはスクリーンがあって、目からライトが当たっていて画面に映っているんだよ」
と教えてくれたお友だちがいました。
そこで、ライトを前から当ててみることにしました。

しかし、"影"になって逆に暗くなってしまうことに気づいた子どもたち。
色々試してはみましたが、困っている様子がみられたので、
保育者からの提案で、色付きのファイルを渡してみることにしました。
こどもたちはすぐに色付きのファイルにライトを当ててみると、壁に色が写し出されるということに気づきました。
子どもたちの"スクリーン"という声をきっかけに、映画へのイメージが広がったくょうに感じます。




その後も、何度か"光あそび"をしていると、
「もっと大きな電気で照らしてみたい!!」との声がありました。
そこで、保育園にもっと大きな懐中電灯があるか園長先生に聞きにいくことに。
すると、災害用の灯光器があることを教えてもらい、貸してもらうことにありました。



早速、カラーブロックを灯光器で照らして遊んで見ることにしました。
いつものライトよりも色濃く映る姿に興奮しながらも、様々なことを試していく中で、
"光の強弱"や"光の距離での見え方の違い"や光の角度"によって写し出されるものが変わってくるという、光の面白さを感じているようでした。
別の日にも、クラスに持っていき、灯光器を出して遊んで見ると、
前回よりもより、様々なものを映し出して遊ぶ姿がありました。
天井写し出したり、自分の洋服に写し出したり、影あそびをしたりと、それぞれが考えてあそびを展開していました。





"光あそび"がもっと広がるようにと、保育者が透明のプラスティックコップを用意して、好きなイラストを描いて、ライトで写し出してみるあそびを提案してみました。
それぞれが自分の絵が写し出されることを喜んでいましたが、
あるお友だちから
「なんだかか、プラネタリウムみたいだね」
という声が上がりました。



その次の日、"プラネタリウム"という言葉を覚えていたお友だちが、
お家からプラネタリウム用ライトを持ってきて来てくれました。
部屋で写してみましたが、光が弱かったためあまりきれいに映りませんでした。

暗い場所がいい!と園内を探しましたが、良い場所が見つからず、保育者の提案で小さな段ボールを持ってきてみました。
その中で写し出すと、とてもきれいな景色が写し出されていました。
そこで
「もっと大きな段ボールの中で照らしてみたい!!」
というアイデアから、大きな段ボールを見つけて、"ダンボールハウス"を作ることにしました。
ダンボールハウスの中をどうすれば真っ暗になるのかを話し合いながら、中に黒画用紙を貼ったり、小さなすき間なくなるように工夫して、真っ暗ダンボールハウスが完成しました。
ダンボールハウスの使い方なども子どもたちで話し合い、約束事を決めていました。




ダンボールハウスの中で光あそびをしていく中で、
プラネタリウムの興味から、星に興味を持つ子どもたちがいたので、お部屋に"星コーナー"を作ってみることにしました。

そこから、今は星への興味や、星座の興味を持つ子どもたちが多くなってきました。
今は絵本をみながら星と星を繋いで星座づくりを楽しんでいます。




<考察>
活動を通していく中で、子どもたちの興味の移り変わりは激しかったですが、保育者はどの部分を広げていくべきなのかというところに悩むこともありました。
その中で、活動の中や普段の会話の中で子どもたちの"不思議に思う気持ち”に保育者が耳を傾け、活動や掲示への反映を取り組むことで小友たちの興味は更に深まっていくのだと感じました。

また、揺れ動く興味をただ見守るのではなく、保育者も子どもの目線で一緒に楽しむことで子どもたちの不思議に感じている深い部分も見え、活動の点が繋がっていくものなのではないかと思います。

現在のにじグループの子どもたちは不思議に思う瞬間は多かったものの、その先に一歩踏み出す力が初めは少し弱かったように思いましたが、このプロジェクトを通して、“やってみよう”“伝えてみよう”“調べてみよう”という力が少しずつついてきているように感じます。
プロジェクトに力を入れることも大事ですが、その中で子どもたちがどのように育っているのか見ていくこともプロジェクトにおいて大事なことなのだと学びました。

今後も子どもたちの興味が移り変わっていく中で、移り変わることに保育者が恐れず柔軟に対応し興味を広げることができるよう関わっていきたいと思います。