五感がつながって、世界が広がっていく(0歳児クラス)

0歳児クラスの子どもたちは、毎日の生活の中でたくさんの「はじめて」に出会っています。
音、色、感触、匂い、光――
その一つひとつを、五感を通して全身で受け止めながら、自分なりに確かめ、次の興味へとつなげていく姿が見られるようになってきました。


「音」に気づくことから始まった遊び
玩具や絵本を叩いて音を楽しむ姿から、楽器遊びを取り入れました。
「叩くと音が鳴る」
「振ると違う音がする」
その違いに気づいた子どもたちは、手だけでなく足でも試しながら、音が生まれる仕組みを探っているようでした。
この“音への気づき”は、リズム遊びや日常の生活音へと広がり、
離れた場所から耳を澄ませたり、聞こえた音を身体で表現する姿へとつながっていきました。





「触る」ことで深まる世界
絵の具や小麦粉粘土では、最初はそっと、そして次第に大胆に触れる姿が増えていきました。
サラサラだった粉が、ベタベタとした粘土に変わる——
その変化を手の感触で感じ取り、触れ方を変えながら確かめる姿から、
目の前の“もの”と真剣に向き合っていることが伝わってきます。
この経験は、氷遊びや水遊びへとつながり、
「冷たい」「温かい」と言葉にできなくても、何度も触り比べながら違いを感じ取ろうとする姿が見られるようになりました。







「匂い」に出会い、発見が広がる
玉ねぎやゴーヤ、果物などの食材に触れる中で、
形や重さだけでなく、匂いにも意識が向いていきました。
友だちが顔をしかめる様子を見ると、自分も鼻を近づけてみる。
そんなやり取りから、
「なんだろう?」
と感じるものを、友だちと共有しながら確かめる姿も増えていきました。

匂い付きの粘土や色のついた粘土では、
「色がついた」
「匂いがするかもしれない」
と、これまでの経験をつなげながら、新しい発見を楽しんでいました。





「見る」「写る」不思議さへ
秋には、部屋に差し込む光に気づいたことをきっかけに光遊びを取り入れました。
最初は壁に映る光を眺めていましたが、次第に
「どうしたら写るの?」
「これを当てたらどうなる?」
と、自分で試す姿が見られるようになりました。
形が映るライトでは、触れそうで触れない光を不思議そうに見つめ、
保育者の真似をしながら、気になるものに光を当てて確かめる姿が印象的でした。
これは、模倣から「自分でやってみる」学びへと育ってきている姿だと感じています。




経験が積み重なり、学びにつながっていく子どもたちは、一つの活動だけで理解しているのではなく、これまでに感じてきたことを、次の遊びの中で重ね合わせながら世界を広げています。
保育者がねらいを持つことは大切ですが、子どもたちの予想外の反応や発見こそが、次の活動へのヒントになっています。
これからも、
「もう一度試したい」
「ちょっと違うことをやってみたい」
そんな子どもたちの声なき発信を受け止め、一人ひとりのタイミングを大切にしながら、
五感を通した豊かな経験を積み重ねていきたいと思います。