自然と共に育つ子どもたち(3・4・5歳児/おひさまグループ)

公園で遊んでいたある日のことです。
地面に落ちていた枝を手にした子どもたちが、枝を組み合わせながらふとつぶやきました。
「これ、テントみたいじゃない?」。
その何気ない一言が、遊びのはじまりでした。




枝を2本、3本と組み合わせ、そこに布をかけると
あっという間に“テント”が完成。




すると、すぐそばで焚き火を作り始める子が現れ、
「魚を釣りに行こう!」
という声も聞こえてきます。
釣り竿に見立てた枝を手にする子、
魚役になって遊ぶ子。
その様子を見て「面白そう」と仲間が増えていき、
気づけばキャンプごっこが自然と始まっていました。




子どもたちの「これ、やってみたい」という思いが次の遊びを生み、その遊びがまた別の思いを引き出していく。
そんなふうにして、少しずつあそびが広がっていきました。

作ったテントを保育室に置いておくと、次の日も、その次の日も、子どもたちはテントを囲んでキャンプごっこで遊びます。
魚釣りをしていると
「魚がないね」と気づき、積み木を魚に見立ててみたり、
「焚き火がないと焼けないよ」と枝やスズランテープで焚き火を作ったりします。








やがて、
「もっと大きいテントに入りたい」
という声があがります。
どうすれば大きくできるのかを話し合い、
「長い枝が必要だね」
「本数も増やしたほうがいい」
と考えを出し合い、森へ枝を探しに行くことになりました。



枝の長さを比べ、
「先生と同じくらいの長さだね」
と測りながら選び、みんなで力を合わせて持ち帰ります。
年上の子が年下の子を気にかけながら声をかける姿も見られ、自然と協力する関係が生まれていました。



しかし、テント作りは、決してスムーズにはいきませんでした。
ひもを結ぶのが難しかったり
うまく立たなかったり
そのたびに
「こうしたらどう?」
「じゃあこっち押さえて」
と声を掛け合い、それぞれが自分なりの役割を見つけて関わっていました。
試行錯誤の末、テントが完成したときの子どもたちの表情は、達成感と誇らしさに満ちていました。









完成したテントをきっかけに、遊びはさらに広がっていきます。
ブルーシートを広げると「海みたい!」という声があがり、釣り遊びが始まります。
「釣れないね」
と感じたことから、磁石を使って試してみたり、
「くっつくものってどんなものだろう?」
と調べたりしながら、魚作りへと発展していきました。






「園庭にテントを出そう!」というお友だちがいました。
テントの足をどう固定するのか試行錯誤しながら、力を合わせえテントを園庭に設置することができました。





遊びながら、考え、試し、また考える。
その繰り返しが自然と生まれていました。

夏になると、園庭で見つけたセミの抜け殻や幼虫をきっかけに、“虫博士”の活動も始まりました。




「セミを捕まえたい」
という思いから、
「高いところにいるなら、虫取り網が必要だよね」
と考え、園にある素材を使って虫取り網を作ることにしました。









思うようにいかなければ、
「もっと丈夫にしたい」
と改良を重ねます。
「教えて」
「すごいね」
と声をかける姿も増えていきました。


虫捕り網を作った経験から、さらにハンモック作りへとつながります。
ネットや棒、ロープを使い、
「どうやったら丈夫になるかな」
「結ぶ位置はここがいいかな」
と考えながら作り上げていきました。








以前は難しかった“結ぶ”という動作も、経験を重ねたことで自信を持って取り組めるようになっており、成長を感じる場面でもありました。

やがて子どもたちの関心は、
「たき火をしたい」
という思いへと向かっていきます。

しかし、火には危険もあることを子どもたちはよく分かっていました。
「どうしたら安全にできるかな」
「誰に聞けばいいんだろう」
と話し合い、自分たち園長先生や消防署に話を聞きに行くことを決めました。









質問を考え、相手の話を聞き、自分たちの遊びを見直していく姿は、とても頼もしく映りました。


この一連の活動は、最初からゴールが決まっていたわけではありません。
子どもたちの「やってみたい」という思いを大切にし、その時々で生まれる疑問や課題に向き合いながら、少しずつ深まっていったプロジェクトです。
うまくいかないことがあっても、「できない」で終わることはなく、「じゃあ、どうする?」と考え続けてきました。

保育者は、答えを教える存在ではなく、子どもたちの思いに耳を傾け、「それ、面白いね」「一緒に考えよう」と寄り添う存在でありたいと考えてきました。
子どもたちは、「みんなで考えたらできた」「力を合わせたら前に進めた」という経験を重ねる中で、自信を持ち、仲間を大切にし、挑戦することを楽しめるようになっていったように思います。

テントから始まったこの遊びは、キャンプ、虫博士、ハンモック、たき火研究へとつながり、今もなお子どもたちの中で続いています。子どもたちの「やってみたい」という気持ちが、学びとなり、成長となっていく。その姿を、これからも大切に見守っていきたいと思います。